Club GERONIMO Challenge 2018 佐渡組 応援記(Cタイプ柴田選手)

佐渡応援記

5年ぶりに上陸した佐渡島。それは、選手としてではなく応援のためだった。 トライアスロンを始めたデビュー年に、Bタイプに出場し完走を果たした。わたしにとって佐渡は、原点とも言える大会である。その後、ミドルを中心に出場し、ロングの宮古島大会を2度ほど完走しているが、日本一最長のAタイプにエントリーしたことは今まで一度もない。なぜなら、一筋縄ではいかないことを分かっているから。覚悟を決めれず、なかなか踏み切れないでいた。 競技をお休みして5年の月日が過ぎ、いざトライアスロンを再開しようと考えたとき、真っ先に佐渡大会のことが頭に浮かんだ。そうだ、Aタイプに出たい。日本一最長に挑戦したい。直感的にそう思ったが、残念ながら今年は出場資格がなく、Bタイプにもエントリーできない状況。複雑な心境のなか、冒頭のように佐渡島に上陸することになった。

<キッズボランティア>

落選して出場が叶わなかった仲間とともに、前日のキッズボランティアに参加した。 朝7時、河原田小学校の体育館に集合。任務は小学生低学年の選手登録受付とエイドステーションだ。

お名前を聞いてゼッケン番号を確認し、ネームホルダーとトランジションバッグを渡す。恥ずかしそうにお名前を言うキッズ達に萌えた。 スタート前にはエイドステーションへ移動しドリンクの準備。キッズだから少なめに…と紙コップに1/3ほど入れたが、それでも多いとグループリーダーに指摘された。そもそもキッズ達は大人と違ってそんなに飲めない。それなのに頑張って飲み干そうとするらしい。なるほど勉強になります。

時間差でスタートしたキッズトライアスロン。未就学児から小学生、大人のような体形のジュニアまで、一生懸命にゴールを目指すキッズ達はかわいかったし頼もしかった。大人になっても続けて欲しい。 肝心のお仕事のほうは、あまり暑くなかったため水分を取るキッズが少なく、まったく用なしのエイドステーションだったので応援に徹した。

レース終了後、支給されたお弁当を食べながらグループごとに反省会。ボランティア活動をして気づいたこと、感じたこと、改善したほうがいいことなど、リーダーが中心になって聞き取りが行われた。佐渡トライアスロンを良い大会にするためにはどうしたらいいか?という姿勢が強く感じられた。一年に一度「開催して終了」ではない。選手にとって、応援者(保護者)にとって、より良い大会づくりを常に目指している。また、「明日もボランティアします!」「明日はわたしも出場します!」そういう方々に助けられていることも決して忘れてはいけない。

<トライアスロンレース当日>

朝4時、Aタイプの選手と一緒に宿の朝ご飯を食べてから会場へ向かった。なぜかドキドキが止まらない。仲間を見つけてはエールを送るが、手を振ってもなかなか気づかない選手が多い。われら応援団3人で声をかけてようやく気がつくほどだ(笑)やはりスタート前は緊張感が漂う。

スイムスタート直前に浜辺に移動。運良く仲間数人に会えたが、そのとき土屋さんのゴーグルの紐が切れていることが発覚!あと数分でスタートというタイミングだったので驚いた。さらに驚いたことに応援団のチエさんが、そんなこともあろうかと予備のゴーグルを持っていたことだ。この日のために一生懸命トレーニングしてきて、スタート直前にスタートできないかもしれないアクシデントに遭ったら、どんなに動揺するだろうか。わたしなら半泣きになるところを、予備のゴーグルを受け取った土屋さんは、何事もなかったように号砲とともに海に入っていった。さすがだ。

どうか、みんな無事にスイムアップできますようにと、続々と上がってくる選手を拍手で迎えながら仲間を探し、見つけては声援を送った。AタイプBタイプのすべての仲間をバイクに送り出したあと、バイクコースの途中にある小木の坂へ向かった。

Aタイプなら162~3km地点、Bタイプなら80~1km地点ぐらいか。バイク終盤での高低差120mほどの坂は相当きついだろう。「頑張れ!頑張れ!!」と応援していると、「ありがとう!」と答える選手もいれば、手を振る選手、うなづくだけで精一杯の選手、「坂はあとどれくらい続きますか?」と質問する選手もいて様々だ。正午を過ぎてますます陽射しが強くなってきた。選手の汗もしたたり落ちる。昨年よりは涼しい…とはいえ、バイクパートはAタイプで7~8時間かかる。脱水症状、熱中症が心配だ。応援団も様子を見ながらこまめに給水した。

小木の坂から撤収する14時半が迫ってきた。指折り数えても、まだ10人超の仲間が通過していない。例年の経験から、小木の坂の通過が14時半過ぎると完走できる可能性が低くなるらしい。どうか、ギリギリでもいいから全員が通過できますようにと祈って待ったが、残念ながら数名の仲間には会えず小木の坂を後にした。 後ろ髪を引かれる思いでランコースへ移動。

1周目の7.5km、12.5km地点、2周目の28.5km、33.5km地点だろうか。つらい表情で走っている選手が多かった。この大会の厳しさが感じ取れる。Bタイプに出場している仲間はすでにフィニッシュしているのか、ランコースでの応援はできなかったが、みんな無事にゴールできたんだなと思うと嬉しかった。

正直、ランの応援は心苦しい。頑張って走っているのは百も承知のうえで声援を送らなければならない。走りたくても走れない。一度歩いてしまうと走り出せない。脚が膝が痛い。思うように補給が取れない。気持ち悪い。そんな経験はわたしにだって山ほどある。それを考えると本当につらい。だけど、いまできることを精一杯に頑張って欲しい。そんな気持ちで選手全員にエールを送った。

日が暮れて辺りは真っ暗。応援団の声と選手の息づかいしか聞こえない静かな田んぼ道。あとはゴールするだけの2周目の復路の選手が、「きょうは一日応援ありがとう!」と声をかけてくれた。ひとりだけではない。複数の選手が「きょうはありがとう!」「夜遅くまでお疲れさま!」と笑顔で労ってくれた。わたしはいままで、顔見知りではない応援者に感謝を伝えたことはあっただろうか。仲間からの応援にもちゃんと答えているだろうか。笑顔、リラックス、応援に答える気持ちの余裕。これらが自己ベストや完走に必ずつながるのだ。

制限時間の21時30分。打ち上げられた花火を見ながら、未来の自分の姿を思い描いた。来年、Aタイプに出場できたらすべての声援に笑顔で答えて完走したい。できるかな?できるように頑張りたい。 終わり

 

柴田 知代

 

 

「できる!応援します。」