石田選手参戦記 ~得るものはある~

ハワイレース報告

今年のハワイのレースは例年になく厳しいコンディションという中、自分のレースが全く出来ずに11時間48分という、初アイアンマンを除いてのワースト記録でフィニッシュしました。また総合タイムがワーストであったのみならず、3種目それぞれワースト記録であり、ゴールをした瞬間は達成感よりも、何ひとつうまくレース出来なかったことへの苛立ち、悔しさ、そして苦痛から解放されることへの安堵感を同時に味わった気がします。

ハワイでのレースは今回で4回目ですが、自分としては1勝3敗の成績という認識。自分が満足のいくバイク、ランが出来たのは1回のみであり、残りの3回はいつも腹部の膨張、下痢を伴う腹痛により、途中から走れなくなり、苦痛をこらえながらゴールをしています。要は、自分の得意なランがハワイでは全く活かされずにレースを終えているという状況です。今回も腹部の不調が発生したのは10K近辺ぐらいから。ただし1か月半前の洞爺湖のレースで、足の故障を原因にランの時点で途中棄権をして完走をあきらめたのですが、その時にやはりどんなに遅くとも完走をしてフィニッシャーシャツとメダルをもらわないとレースに参加した意味がない、ということを身に染みて感じていました。よって今回は何が何でも完走をすること、そして出来る限りあきらめずに走り続けることを自分に誓いました。苦痛と戦いながら一歩一歩足を前に出すのは非常に辛いものであり、トライアスロンという競技を実施しているというよりは、言わば我慢比べのような気持ちでランを続けました。一方、その苦痛が自分にとっては耐え難いものであったために、いつも同じ苦しみを味わってレースを終えた年同様に、こんな苦しみは2度と味わいたくないというのが本音です。例年はそれでも時間が経つとともに、その痛みの記憶も薄れて、再度ハワイへの挑戦を新たに決意するのですが、今日時点ではその気にはなっていません。それよりも3度こうした結果に終わっているということは、ハワイのレースは自分には無理なのではないか、越えられない壁があるのでは、と弱気にもなってきます。今後オフシーズンに入り、自分のレースを見つめなおす中で、今後の取り組み方を考えていこうと思います。特に今シーズンは、過去2か月の間に相次ぐ故障に悩まされ、レース当日も足の違和感がいつ激痛に変わるかという不安を抱えながらのレースでしたので(結果、腹痛には悩まされたものの足の痛みは気にならず)、じっくりと体を回復させることが重要であると思っています。

湿っぽいレース報告にはなっていますが、無論今回のレースから得られているものもあります。それは、日常生活では普段経験しないほどの、様々な感情を味わい、経験出来ているということ。残念ながら、それらは今回に限っては苛立ち、悔しさ、絶望感といったネガティブな感情が支配的で、安堵感、達成感、充実感、といったポジティブな感情が少なかったわけですが、結果ネガティブであってもそれらを感じたこと自体は自分の成長につながるものであり、収穫かと思います。そして、記録は全く不満足なものであったものの、最後まで諦めずに自分を叱咤激励しながらも、痛みにこらえながら走り続けフィニッシュした自分はほめてあげてもいいのかな、と書きながら今思えてきました。

石田力

 

 

「石田さん、お疲れさまでした。まずは、休んで。また考えて、そして、走る。」

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